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2012.08.31
よく熟れた
桃の香りのする深夜
冷蔵庫をそっと開けて
ボトルのキャップをしずかにゆるめ
つめたい氷のようなグラスに
滾々とそそぐ麦茶の色

なんだか、べっこうのようだ

読みかけの本の
句読点の位置に
わずらわしくなる
車内の冷房
乗換までにこの段落を終えて
次の場面はきっと君に
視線を奪われていたいとでも
いって
わらって

ステンレスの指輪も
ときに饒舌に愛を語ろうとする
時間のすぎたことを
まるで縫い目を継ぎ足すように
懐かしく思い出している
しおり
はらはらと風に落ちる

電話は夏の質感を
すこしだけ硬くして
融けそうな肌と相反するシンボル
もしくは忠告の気配を
私によこして ひどく暑くて

あ、まだここにあるみたいだ
新幹線の心細さ
ビジネスホテルのベッドと
枕元のライト 土産の洋菓子の箱
どこまでも遠い日記の底にまで
名前を付けて
いつ呑み込もう

(まだ長くもっとあまく)
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2012.08.30
すこし荒れた肌の上に
容赦なく浴びている陽射しの
落とす影
そういう仕組みだったかのように
スパイシーに笑っているみたい

構えている
カメラの
その向こうには何があるんだろう
君が落としてきたもの
ここにはあるんだろうか

まだ車両は地上区間を
音もなく滑るようにトンネルを
愛だろうか
惰性だろうか
まだ優しい温度で 見つめていると
思いたいけど

君は疲れ切って
眼を閉じた
まぶたは重く睫はゆたかに
たっぷりと憂いを含んで
私のか細い心の糸を
かんたんに縺れさせて
さそっている
獣の手足

(ビジネス・ダブル)
2012.08.15
結局 雨は降らなかった
いそいで化粧をぜんぶ落として
知っている地図記号を
片っ端から噛み潰して 走った

往来は忙しなく
溶けかけた町の輪郭は
いっそうぼやけて 夜が迫る

家路は代わり映えのしない
白熱灯に照らされて
他人の影を 点々と落とす

グラフは均衡
あなたには知られないように
指輪を嵌めた おさない指
むしろ冷たくなってしまう

懐かしく 川沿いは
放課後の高揚をうつして
畳み掛ける 風の香りを
散らして 逃げた
だれの 嘘だ

(夏は非搭載)
2012.08.12
熱を
炭酸水に溶かして
胃に流した

蛇口はとめどなく
祭りにざわめく群衆のようだ
凍るまでが
極端に あつい

薬品の匂い
芳しい他人の汗を
とばすような
陽射しは ブルー
絵画のように濃い
窓枠の向こう
たとえば、幻
とか 呼んでみる?
微笑んで

ふうわりと風が
舞い上がるように
車輪は丁寧に
ひとびとを運んでいく
光を
捕まえるように
手を伸ばす姿
なにか悲しい祈りを捧げる
子どもだろうか
あの小さい影の漣

眠れない
そして 遠ざかる

(錠剤が溶ける)
2012.08.12
覚めかけているような
夢の中にいるとき
できれば目はあけずにいたいのに
声も触覚もぼやけた
ぬるい意識の奥のドア 叩く
誰だろう
あ しっている

たぶん夜のずっと冒頭で
落ちつつある照明の渦
点々とテールランプ 泳いで
サイドミラーには中央線が
疲れ切ったまま 発進する

機体は低く僕らの頭上をかすめて
滑走路までの緊張を
ばらまいて
くもりぞらで

このまま走り続けても
汗をかいて海へとたどり着いても
渡れなかった橋のこと
思い出してしまうかな
冷たい目線は 刺さる前に
す、っと頬を切りつけて
風のように掻き消えた

ここから抜け出そう
小降りの雨は高速道路を すこしだけ煌めかせて
慣れない
ああ まだ 小刻みにふるえている
降り立った地上で 息を吸っても
この速度の内側は
これでもかというほどに
あわく 甘い

(埠頭まで)
2012.08.10
曲線と 夏
海は遠い 雑多な街
風だけが ようやく鮮やかな
空の温度を 掻き消す
眠りが くるといい
ベンチの影 砂はこぼれて
覚えたての未来を 連想した
ここに漣は なくて
ガラスのコップが 濡れている
古本の匂いは その栞に
しみついた 地下鉄の呼吸も
連れてきた 迷いなく
階段を 降りている
融けそうな 色合い
折り紙 上手にできなくて
カーテンが透けて 太陽の
熱いんだろうか おぼろげな暈が
ボンネットの 紺色に滲むと
飛ばされる 乾いた欲
海が遠い 海に行きたい

(夏)
2012.08.10
みとれてしまうような
くすんだ空の色は七月に似ている
はじまった夏
濃くなっていく空気
旗のように洗濯物はゆれて
とおくの町はしらんかおして
私のよく焼けた肌にしみこもうとする

においは
ない
思い出をふちどるように
水滴にかわる汗が
ていねいに
緑の絵具をのばして

ここにいたこと ある?

ちいさく頭の奥で
点滅するphraseがある
ゆっくりと 熱に代わる
寡黙な少年のような
気配と

(再来する風景)
2012.08.05
なつかしいメロディーの糸を
たぐるようにあなたの唇はうごいた
置いてきたはずのノスタルジア

ここは色をうしなって ものがたりはふりだしに戻る

声を
聴いていてほしかったな
風のように歌うことができなくても
ゆるやかに追いついていくあきらめの速度を
たぶんさわっていられたよね

なにも

にまぎれた汚れ
砂のようにふりおとして
消えていく未来でのターンなんかも
ないや

ずっとずっと
こすってこすって

(枠のうちがわで踊ること)
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