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2012.04.30
向こうの道
車の往来はまばらでも
聞こえる
つつ抜ける
耳を塞いでいるのに
でも

あなたの目の前で
つきそびれた嘘が
胃のまわりで透明になって
私を罪の意識がさいなむ

ああ
背骨の感覚が
まだ校庭にはりついている
雨を浴びて
ぬれて
汚れる
春の日、
遠くはならない景色

あなたの声を聞きたいとおもった
閉じる本
ひらく窓

気温は高く湿度も高く
夜はしずか
公園は無人

(夜という箱)
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2012.04.16
たそがれが春のにおいを
ぶちまけたようにノスタルジックで
吐き気がする

あなたの顔
わすれてしまった
傷つけるための言葉と
傷つけられるための肌を
なくしてしまった

むかし好きだった人の寝顔
むかし好きだった人のキス
口癖
足のサイズ

渡り廊下ですれちがう
駐車場と中庭のあじさい
十二月の乾いた風
指先を赤くして駅舎まで急ぐ
昨日の雨に濡れたアスファルトに
校庭の泥をぬりたくって歩く
通気性だけは良い
このダサいスニーカーで

マイナスとプラス
掛け算も足し算もできる
あなたの言葉をゆらしてみる
とかしてみる

あなたの顔も
熱も
眼も
すべてわすれてしまったのに
むかし好きだった人の
寝顔なら思い出せる
あなたの顔
わすれてしまった
それなのに
それなのに

(絆創膏)
2012.04.16
恋しいのはその身体
傷だらけの指と指を
からめて所在無く歩いている
花の匂いのする道を
駆けていく風はわずらわしい

前髪まで
春のようで

舞い散る紙ふぶきのようだ
勾配は健やかに続いている
池に落としたボールと
まっしろい月の相違
浮かんでいる
皿の深く濁る気配

しずかに
しずかに視線をかわすと
はじめて触れるかのように
あなたのまぶたは震えだす
それは足りない言葉よりも
饒舌で
におやかだ

香ばしく煙る空
太陽の向こう側に誰かが待っていて
すこしずつ花びらを散らし
わたしたちを
壊したがる

(メイキング・ストーリー)
2012.04.16
何度もみた
夢のつづきなのかもしれない
しろい腕がとどいた
ビルのうっすらと翳る

ほこりのように 積もっていて
砂のように舞い上がりそうな
潮の匂い
 

 (あ ずいぶんと
  くだったんだね
  この川)


いちど てばなして
二度と開けなくなった
貝のような記憶が
灰色の深い波のうねりに
さらわれてしまえば
いきぐるしくつっかえる
この喉のおもりが
はじけるのに

橋が渡すひとのながれ
闇のながれ
ひかりのながれ
追いつけないのが悔しくても


 (街はもう、
  夜を
  むかえたんだろうか)


客船は糸のような傷をひいて
なまぐさい水平の上を
すべってゆく

きっと
降り立つのなら
まだ白紙の便箋のような
あまい躊躇いに満ちた


(着岸)
2012.04.16
濃紺の夜にうかぶ
月の光はやさしく届いて
上昇する熱も
下降する嘘の鮮度も
すべていっしょくたに
包んで

公園はうすぐらく
海のそばだから潮のにおいが
満ちている
だれを待っているわけじゃなくて
細やかな風の
ゆらす空気の冷たさに
ふれていたくて

凍るように
たちどまっている
忘れてきたことが
押し寄せる波のように今
胸の中で揺れているみたい

その手が握っていた
幾つもの言葉をも
僕は簡単にやぶいてしまえるの
さみしいな

おいてゆこうと
決めたものが
瞼の裏で焼かれてしまって
僕はもうどこへも
ゆけない

耳を清ますと
あたたかく懐かしい物語が聞こえる
会いたかったような
会いたくなかったような
そんな気分で
まだあるいている

(世界のひろさ)
2012.04.16
慣れない愛の言葉を
ささやいたあと
なんてね、とか言って
あなたは俯いた

趣味の悪い青みがかったグレーの
定期入れには
似合わない花の刺繍
会いにきてくれたひとは
みんな好きになるのかな

赤い電車
よぎる黎明の階段
つよくしろい光をうけて
いつもより大胆に
ふれてみせた

まっさらにしてほしい
なんてお願いしたら
どうだろう
あなたの瞼がふるえて
そこから先は映画のように
はやまわしの未来が
見えそうで
どきどきした

(その壁がこわれるまで)
2012.04.16
頭が痛くなるような
朝だった
電話の音が鳴りひびいて
はなれない
はなれない

世界は傾き続ける
きみは偶然のように
つまらない歌を歌うの

夕暮れまで待てなくて
どこかに連れていってほしくて
はだしになる
はだしになる

遠い日にみていた
ものがたりなんだ
もうこの手には抱けないのかも
そんなふうに
やりきれないから

懐かしくなったすべての
景色と
枠組みのない未来
つよくなるために
捨ててきたものだって
いとしくて
ふれていたい

臆病なふりではない
十分な約束がないから
目覚めるまで
まだ
まだ

(微熱は期待する)
2012.04.16
買ったばかりの万年筆で
きみの名前を書いた
しずかにくちびるを震わせながら

という意味をこめて

ゆるされがたい罪も
切り刻めないほどの
冷たい過去も
わたしたちにはなくて
ただひたすらに広がっていく
空の青さに
茫然としていた

ふれてみると温かく
世界はなにも裏切らない
この距離を埋めるような
魔法の言葉だって
ない

傷を大事にするのは
遥か昔のかなしみにすら
触れてしまうということ
だったね

花びらはそっと揺れて
舞うように落ちていく
誰もが通り過ぎる道の側ら
風はふきぬける

きみならきっと首を傾け
いのるように
立ち尽くす

(偶然は粉のように)
2012.04.16
叩きつける薄い雨のような
アルコールの息
きみの声は受話器から届いている
右耳を経由しないで
直接、脳にそそぎこむようだ

引き算をしても
たとえそれが正解でも
紙の上にペンをすべらすだけ

言葉がほしい
いや、言葉よりも
醒めない熱がほしいの
つまりはこの身体に
深くしみわたるような意味が
ほしい

もうろうと
したいな
ずっと待っていた話の続き
きみが知っているんじゃないかな
わかっている期待を
する

ゆがみのどこかできみは笑う
疲れたら
眠る

(楽園をさがして)
2012.04.16
きみの目に映るのは
からっぽの海と
緻密な嘘

会えなかった時間も
会いたかった時間も
おなじように土に埋めて
迎えにきてくれるまで
目を閉じていた

夢の中で
きみの腕はつよく
わたしを抱きすくめて
深い光の奥まで
ひきずりこんでいくようだった

熱のない
平日の朝に
かなしくなって
皿を割るような

もろすぎる芯は
身体をつきぬける前に
破けそうな手紙を
しずかに認め

手を伸ばすととどきそうな
歌ばかり
集めていた

(あまい手癖)
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