FC2ブログ
--.--.--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2012.02.22
一番星に手が届いてビルは積み木みたいだった。鏡の向こうと目が合って、光は膨れあがる。さみしさに似た気持ちが、胸をぎゅーっと締め付けた。滞りそうで澱まない流れにそっと息を潜める。ねえ、せせらぎ、ひびきわたる故郷の川のせせらぎ、身を寄せたいのに上手に転ぶことができないよ。

食い違いつづけるイメージの片鱗をあなたにぶつけたい。壊れそうなギリギリの線を蝶々結びにして、ポケットに隠す。夜より朝のほうがいいね、まっしろでまだひんやりとしているだろうから。清潔な食器に栄養だけ並べて、営んでいるなんて傲慢かもしれないけど、それでも立ち止まると重力に負けそうで、それは困るから

背景は流されて二度と出会えない。やくそくをしたがらないから、筆記用具はもたない。ねむりをじゃまされたくないから、太陽が迎えにくるまで口をきいてやらない。つまらない分岐を散々シミュレートしたあと、みえる景色にだれかの血潮があるといいのに、っておもって
諦めた。

このまままっすぐにゆくと、影はどこまでも短くなってしまうらしい。校庭にありったけの絵の具を持ち寄って雨が降るのを待つ。待つことは救いでありまぎれもない祈りであり、そこには熱がある。呼吸がある。しずかに上下するいきものの形が、わたしの温度を規定する唯一かもしれなくて、
すこし泣いた。

(enter)
スポンサーサイト
2012.02.22
よく目がみえないとおもった

いつのまにか伸びた背丈
ひざうらにぬるい風
イヤなあの子の後ろすがた
引き潮みたいに校庭に吸われた

本棚の
手紙のひみつ
バラされたくなかったら
図鑑の表紙をやぶってみせて
先生ならかえってこないよ

ハサミをわすれた日には
この世でいちばんきれいな花を
絵に描いて
わたしにおしえて

知らないひとの会話の中に
やっとのおもいで居場所をみつける
ひとつ
ふたつ
みっつまで数えた
次のページはどんなふうに
転がってしまうだろう

大丈夫
大丈夫……

うまく色の抜けなかった髪
すなぼこりにまみれて
歯ざわりのわるい春
はやくにげ出してそこまでいきたい
教科書通り
ちゃんとやるよ

(少女のインサイト)
2012.02.22
胃に穴をあけるようなつよい風が
甘くしめったあなたの髪を砂にかえて
一緒にたどった道は塗り絵みたいに
しらじらしい顔をした

おぼろげな点と線
音は跳ねたり曲がったりしながら
ゆっくりとレールを軋ませて
ぼくたちを運ぶ

冬は尽きていくだろう
ねがってもいない温みの到来に
肌は否応なしに柔らかくなるだろう
あなたは目の奥に熱をともして
手癖のわるさをかくしきれないまま
きっと
見られることに慣れていく

あけっぱなしの窓から
光や花粉や雨や埃が流れてくる
空気をかきまわすように
両腕を伸ばして
たしかであることの確認として
すう
はあ
呼吸をした

まだ朝にはきてほしくない

瞼を
とじ続ける理由を
一生懸命探している
頭の底でなりひびく時計の音が
心も身体もいっしょくたに揺する
とうぶんさめない酔いの中で
吊り革も手すりもないことにただ怯えている
でも望んでいる
ぼくたちは運ばれている

(緩行線で眠る)
2012.02.20
地図上にひとつ穴をあけて
きみの横顔を思い出そうとしてる
心はゆっくりと街の中を泳いで
空洞のようなトンネルを
深く深く掘り進める

認めてもらえないように
なにも許すことが出来ないぼくらは
どうしても悲しくなってしまう

言葉を忘れようとして
蹴りだした速度に太陽は追いついて
延々とくりかえされる転調に
焦がれるだけ

いつからか視線が奪われて
同じ風景が喜劇みたいにまわりだしたら
どうしても捨てたくなかったものが
形を変えて目の前を燃やしていく
その日まで待っていてね

ささやかな祈りを
捧げる静粛な時の澱みに
両足をさらして
いつでも逃げられること
おしえて

(近道も回り道)
2012.02.20
夕暮れにため息をついて
とぼとぼと歩くのに飽きた
せわしなく首都高をくぐる
一様な電車の色
携帯電話も光っている

売り切れのコーンスープ
がちゃがちゃと音を立てて
小銭を吐き出す気だるげなキカイ
うるさいな

夢の話かとおもっていたら
水もないのに育ってしまった
そのおおきな木の上から
この街をみおろしたい
なにもかもちっぽけになったように
笑えたり
できるだろうか

川岸はつめたく
どこかやさしく
往来のすこし手前で
わたしはただひとりになる
水浸しにしてしまった物語を
ここでならやぶってもいい
って
誰か言って

晴れた空は群青へ向かい
うっすらと浮かんでくる
街の肖像

おかした罪は時間にかわり
指先は静寂をほしがってる
血脈のような流れを尊ぶこと
それ自体が祈りのような気がして
抜ける

改札
時計まで無骨で
何百年も停まっているみたいな空気
吸うしなくて吸って
吐いた
ああ
寒いな

終わりかけの電池や
つかいものにならない
氷のような末端の温度
いいわけならいくらでもある
そんな安堵で目を
とじる

(傷に沿う川)
2012.02.10
言葉がいらないわけじゃなくて
見えている景色が
遠すぎて
だめなんだ

夜は果てしなく長くて
昼間の喧騒には
すぐに追い出されてしまう
気がする

この声で
あなたの心がゆれるなら
どんな衝動も隠し通して
きっと耳を清ませている

暖房がごうごうと鳴っていて
エンドロールは気だるく流れる
振り向いたら
融けてしまうなあ

この指で
あなたの目が曇るのなら
煙に髪をひたしても
すこしだけ
近づいてみたい

(恋の眩暈)
2012.02.10
鋭い切っ先を
押しあてられているのは
目の近く

身体のそこが心の底だったらいいのに
ただ滑らせて
ぴったりと嵌まる
そういう構造の関係ならいいのに

なにを捨てたって
世界が流れ込んでくるのを
塞ぎきれなくて

どうしようもないね
ここには人が多すぎるし
マグカップのカフェラテと紅茶
とっくに冷めていることにも
気付いている
賢いあなた
いくつもの孤独を拠り合わせても
欲しいものの形にならない
絶望と名前をつけるのは容易いけど
たしかに甘いこの温度をわけあいたくて
どうしようもないね
あなたには傷がすくなすぎるし
もう逃げ場はなくなったよ
表面だけでも滲み出している
見えなくてもそこにある気配が
かわいいね

鈍い指先に乗っける
しょぼい気持ちの波
やっと傾いたら
歯止めなんかないだろうな
ねえすき
だいすき
悲しいくらいにだいすきだから

気が触れてしまうのを
このまま
ただ待っていよう

(逢瀬、舞う合間)
2012.02.10
「あっとうてきに足りないのは
武器だったのかもしれないね」

赤い花も黄色い花も
とうめいな瓶に挿すけど
飾ることの意味をしらない
つまらない暇つぶし

あんなに欲しくて
増やした傷も
しだいに癒えることを忘れていた

いつか橋のかかるまで
憧れ続ける
向こうの河原は
会えないひとたちのほのかな夢を
点し続けている

こわいくらいに
届かないものに
届いてしまわないことを
心の底から望んでいる
愚かさも愛しさに変えるようだ

痛くないなんて信じないよ

今日はたそがれ
いつになっても終わらない
下らない願いを
はやく消して
つかまえにきて

「大人になんかならなくていい」
って
わかったふうに言う誰か

(秒読み)
2012.02.10
白い町並みは
つっついて崩れそうで
まるで絵画のように
バランスの悪い美しさを
持て余している

そこに線を一本引く
名前も
重みもない世界に
ぽたぽたと落とす
墨汁は冷たく薫る

音場はおもったよりも広く
吸い込まれそうな質量で
頭の中を
すーっと広げた

気持ちがいい
いつかみた夢みたい
故郷みたい
車の後部座席みたいだ

同じ繰り返しのような気もしている
静止するたびに音が削れて
目を閉じても
続いている感覚が
飢えさせる
脆弱なからだを

(long drive)
2012.02.07
道路の真ん中が青白く
光りは平坦にながれてゆく
鈍い音の粒子が耳にぶつかって
歩きづらい君の隣で
すこし頬が熱る

見知らぬ悲しみが
見慣れたきみの瞳に宿る
血や肉をわけた動物たちは
私のやさしさをほしがらない

潜って
潜って
地平の下まで世界を広げた
きみの拗らせた青い万年筆
だけどエスカレートする
線の上の駆け引きも
すきだよ

すれちがう日々のどこかでは
同じだけの温もりが燃やされている

今日はちょっと雨が降った
清潔な街は泣きそうになりながら
グレイの
重たい空を抱きとめていた

(箱との逢瀬)
2012.02.07
大人になったふりをしてる
きみは薄いコーヒーをゆらして
天井の電球が波打つのを
みている

切ったばかりの爪で
うまくさわれない世界との妻面
はなれてしまえば
それなりなのに

拉くことについて
従順なひかりというシステムについて
考え直す必要はなくても
ゆびさきがほしがっていく

おかわり、しない
できない
させない

いくらでも言い訳を積み重ねて
聞きたいことばかり集めて
好きだなんて告げる
もっと大事なこと
抱きしめるには
とおいんだ

(拗らせること)
2012.02.02
まだ眠くならない夜
身体の熱はおとなしい
君が浴びていた光りについて
思いを馳せる

青は過剰
でも足りない
「切ってよ」とくちびるが
パチンと、指先は

そこにはもう海はない
ビルもなくて
音も無い
ほこりっぽい風の中で
ただ電車を待っているみたい

グレイの地平に
すこしずつ言葉を積み上げる
じれったいけど目は合わせない
ずるい
ずるいね

ぬるくなっていく世界
不可逆性に身を投げてしまった
もうかえれないから
あとは栓を抜くだけだ

「ふるいたてて、」
君は言う

(毛布と浴槽)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。