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2011.04.29
ひどく平坦な町のことをおもう
買ったばかりの本
折れてしまったページをきらいになる
小さい子のように
単純な因果に迷わされている
地下鉄でつい泣きたくなる

他人の体力を奪うように
目をずっとひらいていたかった
聞こえたり触れたりする
まるで――ふれたことがない
工具のような
かわいい凶器

どこにも帰れない
意識のすきまに身体がすべりこむ
ゆるやかに詰めて
さりげない逃げ足で時をとめて

駆け出したくても
風はつめたくなくても

(熱のない世界)
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2011.04.29
石ころひとつ投げ捨てて
浅い海に波紋がひろがってゆく
手紙に書いた波の話
あなたが読めない匂いのついた
たしかあれは日焼け止め
記憶は更新されて
あの日は風のようにとばされた
一瞬のまちがいで
出会いきれなかった人たち
心と心の通う
とてもつめたい場所があるのに
ひかりは何も産まない
黙っている
その手が触れに来るまでは

(色のない世界)
2011.04.29
飾り切り
下手な字で泣き顔を誉める
せまい個室
這わせる視線や、
鳴らないグラスのとうめいな
あかるく
底抜けの

空白空白空白空白

涙が出てしまう
しょっぱい春のうたげ
誰にも会わない日
本棚にかくれて
夢を見忘れる

見えている
降りていく
現実味のない遮断機の
たぶんあそこで風も切っている

(音のない世界)
2011.04.29
かなしみのようには縁取れなかった
まっしろなプールに焦げ付いた骨をうずめていく
ひんやりとしたトンネルを抜けると
まるで綿毛のようなひかりが小刻みにゆれて
落ちてくるのがみえた

進行する
全身の体感は上昇する
速度も温度もはかりきれない
まさつだ
痛くなる赤くなる流れるのは
いつも液体で

煙突
とっさにかがめた上半身を
笑うようにはがすように
やさしさの色合いを忘れるために
たとえば手を伸ばしたりする

バケツの中身
気になる浄罪の君
どうしようもない終わりへの筆先
はしらせる
はしらせる

(追跡)
2011.04.18
そこは海
きっと海。
仮分数の真下で立ち尽くしている

わたしのしらない重力
砂地は生きもののように足を奪う
サークル、
サークル。
終わりと始まりの区別が消えて
星たち
しずかに輪を繋ぐ

ざわめく喝采。
引き金は波のように

夜は例外なくつめたい
ひとりきり、両手で顔を覆う
聞こえてくる音の束
頭のうちがわを引っかいて
ゆれる。
なまぐさい

ここは海
たしか手渡されたとおもう
鍵は
左手のなかだとおもう
影は
遠くなりそうで
ちがう、あゆみよってくる。

サークル、サークル
かえらない場所へ連なるだろうか

(引き潮)
2011.04.16
ひとりでにここに立っているようにおもう
塩が足りなくなって息をとめたり
半音あがる世界に追いつきたいって
ほしくなくなって

席をはずすと
ひかりひかりひかりめいて
春もおしまい
封をした

ぱらりぱらりぱらり
ああ
線路は続く
どこまでも
うたうのがすきな君

(花の情)
2011.04.16
どうしてもさむい感じがする、
雄弁なのは街の明かりだけだって
ひさしぶりに思い出した。
冬を選ばなかったぼくたちは
ようやく目の当たりにできた互いの身体に
みょうな、他人行儀な感覚と
懐かしさをおぼえていて

ようするに、我慢がならなかった。

手のひらに汗をかいていくのがわかる。
合わない歩調をもどかしがって
そのたびにつよく握ると
すこしずつ
すこしずつ
肌のさかいめをうしなっていくような、
熱い気持ちでいっぱいになる。
でも線はぼやけるだけ。
知っている
知っていて、
その
埋まりそうで埋まらないぶぶんが
どんな言葉よりも甘い
ぼくたちの恋の真髄であるような
そんな気がしていた。

(三度目の春)
2011.04.06
うすあおい膜をつき破って
枕木の連なるほうへ舵を取る
砂のような雨が降りやんだとき
手に残ったほのかな苦みを
ずっと知っていた気がして

はす向かいの家の窓がひらいている
しめきったカーテンがめくれると
秘密めいた香水の瓶が
チカリと輝くのがみえる
足音のような予感が近づいてくる

正常のありかをたしかめる
間もなく
塗り終えなかった両手のネイル
さくらの花びらのように
風にとばされてしまいそうな

なつかしい日差しに抱かれる
黄色の車が横切って
じぶんのくちからこぼれていたのが
かなしい春の歌だと知る

(予感)
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